ない

ない
I
ない
(接尾)
〔形容詞型活用〕
性質・状態を表す語(形容詞・形容動詞の語幹など)に付いて形容詞をつくり, 程度のはなはだしい意を表す。

「切~・い」「せわし~・い」

II
ない【内】
(1)うち。 なか。 内側。
(2)〔仏〕 仏教の側から, 仏教の立場をとる教え, 書物などをさす言葉。
III
ない【唯】
応答の語。 また, 同意を表す語。 はい。 江戸時代, 奴(ヤツコ)などが多く用いた。 ねい。

「『是そこな奴さま, ここへござんせ雇ひましよ』『~ ~ ~』/浄瑠璃・反魂香」

IV
ない【地震】
〔「な」は土地, 「い」は居の意という〕
大地。

「よる」「ふる」を伴って用いられ, 地震の意を表す。 なえ。 「下動み, ~が揺り来ば破れむ柴垣/日本書紀(武烈)」

V
ない【無い・亡い】
(1)(人間や物が)存在しない。 完全な非存在の場合も, ある場面に不在の場合もある。

「地獄は本当にあるか~・いか」「ほめられて喜ばない人は~・い」「ここに置いておいた消しゴムが~・い」「家には相談する相手も~・い」

(2)(事柄が)起こらない。 行われない。

「今日は授業が~・い」「この川の絶ゆること~・く/万葉 36」

(3)(人間や事物について)所有していない。 (ア)人が財産などを所有していない。

「家も~・いし, 妻子も~・い」「今日は金が~・い」(イ)人や物がしかるべき属性を欠いている。 「風格が~・い」「意味の~・い行為」「迫力の~・い時代劇」「このパンはひからびて味が~・い」(ウ)人がある能力・経験や感覚などをそなえていない。 「学力が~・い」「知恵も~・いし, 度胸も~・い」「いいアイディアが~・い」「やる気が~・い」

(4)数量・時間などを表す語を受けて, その数量や時間に達していない意を表す。

「駅まで一キロも~・い」「試験まで一週間と~・い」

(5)(人間が)生存していない。 死んでいる。 《亡》「今は~・い人」
(6)他に類がない。 またとない。

「その時の情けなさそうな顔といったら~・かった」「~・きすきものにて, 朝夕琴を指しおくことなかりけり/十訓 10」

(7)(「…こと」を受けて)(ア)否定を表す。

「欲しくないことも~・いが, わざわざ買う気はしない」(イ)未経験であることを表す。 「まだ食べたことが~・い」「こんなみじめな思いをしたことは~・い」(ウ)不必要であることを表す。 「何も急ぐことは~・い」(エ)可能性がないことを表す。 「まさか死ぬことも~・いだろう」

(8)(補助形容詞)
(ア)形容詞・形容動詞の連用形, および一部の助動詞「だ」「たい」「らしい」などの連用形の下に付いて, その状態の打ち消しを表す。

「それほど寒く~・い」「あまり静かでは~・い」「顔を見たくも~・い」「学生らしく~・い」「ここに使はるる人にも~・きに/竹取」(イ)動詞の連用形に助詞「て」の付いたものに付いて, 「…ている」「…てある」という状態の打ち消しを表す。 「電車が全然動いて~・い」「彼は死んで~・い」「まだ夕食を食べて~・い」「窓があけて~・い」

(9)名詞の下に付いて, 否定の意を表す形容詞をつくる。

「頼り~・い」「情け~・い」

﹛派生﹜~げ(形動)~さ(名)
︱慣用︱ 罪が~・根も葉も~・満更でも~・身も蓋(フタ)も~・目が~/一も二も無く・声なき声・手もなく・武士に二言なし
無い袖(ソデ)は振(フ)れない
持っていないものは出しようがない。

「いくら催促されたって, ~ないよ」

無い物は無・い
⇒ 「無い物」の句項目
無きにしも非(アラ)ず
⇒ 「無き」の句項目
無くて七癖(ナナクセ)有って四十八癖(シジユウハツクセ)
人には多かれ少なかれ, みな癖がある。

Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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